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SUCCESS STORY
開発秘話/プレミアムロールケーキ

シリーズ累計4億個を販売!
コンビニスイーツブームを巻き起こした
ローソン「プレミアムロールケーキ」誕生秘話。

今や有名パティシエの舌をもうならせるコンビニスイーツ。そのブームのきっかけをつくったのが、ローソンから2009年に発売されたプレミアムロールケーキだ。コスモフーズはその開発・製造に大きく貢献。発売以来、現在までにシリーズ累計4億個も売り上げるメガロングヒット商品は、どのようにして生まれたのか。当時を知る元工場長にその経緯を聞いた。

女性向けのコンビニスイーツを

「2008年頃、コンビニスイーツと言えば大容量のプリンや大きなシュークリームなど男性向けの商品が多かったんです」と語るのは当時工場長を務めていた取締役の多田。しかし一方、その頃は百貨店の洋菓子が「デパ地下スイーツ」と呼ばれ人気を博していたため「コンビニでも女性向けのスイーツは人気が出るはず」との読みから開発がスタート。ローソン商品担当・コスモフーズ担当・食材調達担当などで構成されたプロジェクトチームのメンバーも7~8割が女性だったという。
とはいえ、なぜ数あるスイーツのなかで「ロールケーキ」に目を付けたのか。「ちょうどその頃、巷ではリッチな一本物ロールケーキが女性の間で人気を集めていたんです。でも、一人用がなかった。だったらそれをプロジェクトチームでつくろうということになったんです」と多田は振り返る。

まずは「おいしいクリーム」から

しかし、当時のスイーツは重要な要素のクリームが女性からは受けが良くなかった。そこでコストは二の次で、デパ地下や洋菓子専門店の味に負けない、本物志向の風味のあるクリーム開発を目指すことになったという。
当時のプロジェクトチームの苦労を振り返り「大変でした。それまでのクリームはコストの観点から植物性油脂も併用していましたが、とことん動物性油脂(生クリーム)にこだわり、全国各地の銘柄をブレンドし組合せや配合率の試作は、試行錯誤を重ね200回を数えた。」最終的に「コクがあり、かつ口溶けの良いさっぱりとした風味を生み出す」黄金比率のクリームが完成した。

ターニングポイントになったひらめき

しかし、ここで新たな問題が浮上する。当初は一巻きのロールケーキを製造し一人用にカットする工程を想定していたが、スポンジ・クリームがやわらかいがゆえに、巻いた後1人用にカットしようとすると楕円形に歪んでしまうのだ。「もう、その当時はみんなでどうやって製造すればいいかを四六時中考えていました(笑)」そうしたら、プロジェクトチームであるとき「横にすればいいんだ!」とのアイデアが生まれました。多田が言う「横にする」とは1人分にカットした短冊スポンジを円形のトレイに沿って円状に巻き、その円内にクリームを絞り、平らに整える方法。従来の製造方法とはあまりにかけ離れていたため、最初はプロジェクトチーム内でも疑問符がついたが、ラインテストを何度も重ね「スポンジを折らないで巻く熟練技術」を作業者に習得させ、結果としてその製造方法が「カット時に楕円に歪む」という壁の突破口となり、一人用プレミアムロールケーキの商品化が実現した。

5日間で全国100万個の大ヒット

ローソンでは早い段階からイベントや施策を実施した反響が大きく、発売前から話題になっていたため関係者のなかでも売れるだろうとの予測はされていた。そして、2009年9月。満を持して発売されたプレミアムロールケーキは、デザート市場の勢力図を塗り替えるほどの空前の大ヒット。5日間で全国100万個の販売を記録し、発売後約2ヶ月間は毎日商品入荷待ちの状態にまでなった。
多田は当時の様子をこう振り返る。「まさか、こんな大変な事態になるとは思っていませんでした。当時、新商品の初日発注数は関東圏では通常約1万個位なんです。プレミアムロールケーキは通常の3倍位はいくだろうと予測し準備していました。しかし、フタを開けてみればまさかの10万個。初日は工場をフル稼働させ深夜近くにようやく出荷し終えたことを今でも鮮明に覚えています。翌日も数万個、その次の日にまた10万個近い発注があり、生産調整する事態に陥りました」。

このプレミアムロールケーキの
本当の功績

まさに社会現象となったプレミアムロールケーキ。開発のターニングポイントとなった“置いてつくる”製造方法もメディアでは「逆転の発想」と絶賛され、「スプーンで食べるロールケーキ」というこれまでにないコンセプトや1個150円という低価格、そして空の棚がSNSにアップされるなど品薄の状況も人気に拍車をかけた。翌年のヒット番付では単独商品で上位にランクインを果たしている。
2009年はコンビニスイーツ元年と呼ばれる。その幕を開けたのは、まちがいなくこのプレミアムロールケーキだ。その功績はただひとつの商品が売れたというだけにとどまらず、「ついで買い」だったコンビニスイーツを「コンビニへ行く目的」にまで押し上げたことにある。「逆転の発想」で生まれた一人用プレミアムロールケーキは、「コンビニスイーツはデパ地下に劣る」という固定観念も逆転させたのだ。これまでに何度かその時代のニーズに合わせリニューアルをし、今なお進化をつづける同ロールケーキ。高級チョコレートブランドなどとのコラボ商品も人気でシリーズ累計販売個数は4億個。 このプレミアムロールケーキはこれからも、コンビニスイーツを引っ張っていく。

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